もくせい俳句会(明石)の進め方と秀句のご案内


もくせい俳句会(明石)の開催日時と場所は次の通りです

 

句会日:毎月 第2水曜日

時 間:午後1時~午後3時

場 所:ウィズあかし 明石市東仲ノ町6番1号(アスピア明石北館7階・8階)

講 師:山田佳乃先生 (円虹主宰) 2023年度NHK俳句第2週選者

会 費:月額 2,000円(なお入会金は不要)

 


もくせい俳句会(明石)の進め方は次の通りです。

  1. 句会日の開催日までに各自5句を準備し、句会に望みます。
  2. 5句の内の2句は、兼題句(その月に与えられた季語の句)です。
  3. 兼題句は、同じ季語句友がどのような視点で作句しているか、勉強になります。
  4. カレンダー等を切り、短冊状にした投句用紙を準備し、一句ずつ無記名の5句を出句します。
  5. 全員の句を混ぜ、無作為に5句ず全員に配ります。
  6. 清記用紙を配り、清記用紙に番号を付け、夫々が配られた5句を転記します。
  7. B4用紙に清記用紙8枚を貼り付け、人数分のコピーを準備します。
  8. コピーを全員に配布します。
  9. 全ての句の中から好いと思う5句を各自選句します。
  10. 全員の選句終了後、清記用紙の順に選句された句の披講(句を読みこと)をします。
  11. 選句者の中の代表者に、句評をしてもらいます。
  12. 句評の後に、俳句の作者が名乗ります。
  13. 互選に加え、山田佳乃先生の選句が有り、入選句とその月の特選5句(令和5年9月は10句)が決まります。

令和6年の兼題は次の通りです

1月10日:初明り・七種    2月14日:寒明・鶯     3月13日:山笑ふ・卒業    4月10日:春灯・桜鯛 

5月8日 :山女・麦の秋   6月12日:夏草・さくらんぼ  7月10日:トマト・朝曇  8月14日:休会

9月11日:秋刀魚・霧    10月9日:栗・秋の空    11月13日:凩・木の葉髪   12月11日:河豚・焚火


各月の秀句

次に掲げる秀句は、山田佳乃先生が特に佳しとした、その月の特選5句(令和6年3月は7句)です。


令和6年3月13日

赤ちゃんのあくびをもらふ子猫かな

春光を綴り合はせて雨の糸

卒業の朝の青空ちぎれ雲

存続の決まりし母校山笑ふ

生きづらき子等と一緒にしゃぼん玉

下宿屋の玻璃戸を磨き卒業す

蒲公英は日のいろ絮は風のいろ


令和5年12月13日

年の瀬や香煙絶えぬ義士の墓

板台のここに日がなを牡蠣割女

人の手を幾つも借りて冬温し

古都の冬塔を支える心柱

瀬戸内の海あをあをと牡蠣太る


令和5年9月13日

水澄むやかげくつきりと逆さ富士

水澄みて一枚岩を磨き上ぐ

ひとしずく落として果つる花火かな

さよならは小さき握手月の道

稲刈つて星のまたたく長寿村

さよならと曲る四つ角秋の声

流木のかたちいろいろ秋の浪

へなへなの昭和を残す秋団扇

すうつと来て現に止まる蜻蛉かな

猿酒やここから先はけもの道


令和5年5月10日

夏めきて寄木細工の漁師町

山彦の声の高きに朴の花

毛筆のにぢみ卯の花腐しかな

朴咲いて天上の門ひらきけり

まん丸の古き食卓豆ごはん


令和5年1月11日

榾明り赤子の薄き爪を切る

焚火の輪一気に解かれ出漁す

エスカレーターマスクの列が上り来る

空広げ寒禽のこゑ晴れやかに

あはあはと水辺光れり冬桜


令和4年10月12日

同じ山仰ぎてゐたる案山子かな

自販機のタンと終了夜寒かな

秒針の静寂を破る夜寒かな

気を付けのまま傾いてゐる案山子

出迎への案山子指差す峠茶屋


令和4年6月8日

目高増すもう誰も居ぬ子供部屋

月涼し舟漕ぐやうに胡弓の音

水槽の目高数へる日課かな

線香を絶やさぬ広間明易し

五月闇廊下の奥に古時計


令和4年3月9日

古雛の欠けたる鼻はいつのこと

五円玉ころがる市場水温む

近道は遠き道なり春の泥

島挙げて巣立つ一人の卒業歌

雛まつり花やぐ事もなく暮るる


令和3年12月8日

煙突にゆの字一文字冬夕焼

縄電車停る駅なし冬日向

天空の城を眼下に息白し

投釣りの腕を振りきり息白し

息白しカタカタカタとランドセル

妻留守のおでん温めて昼の酒

寒禽のいつもの声と違ふ声


令和3年9月8日

夕雲のふちのくれなゐ赤のまま

清らかな水を散らして芋水車

白秋や今朝も卵をひとつ割る

暮れどきの湖岸にひとつ秋ともし

鰯雲吸いつくすまで深呼吸


令和3年7月14日

夏蝶の光りが蔭を射抜く午後

草刈りし径あたらしき風とほる

雷一喝又一喝と落ちにけり

噴水の七色といふ夜風かな

軽やかな金槌の音梅雨晴間


令和3年4月14日

丹波路の山城とほみ辛夷咲く

真ん中に指孔ひとつ春障子

三椏の花やその先秘湯の宿

雨戸曳く音を包みし春の闇

階下より母の声する朝寝かな


令和3年1月13日

菰樽の高く積まれし淑気かな

初詣人より鳩の数多し

薄氷に幼き指の好奇心

マスクしていつものやうによく喋る

お茶席の亭主待つ間の淑気かな


令和2年10月の秀句

寺町の坂の途中の一重菊

秋簾仕舞ひて縁の広さかな

そぞろ寒病みし歩巾のままならず

秋耕の翁の鍬の確かさよ

夕影のバス停に立つそぞろ寒


令和2年6月の秀句

牛小屋に牛犇けり南吹く

気掛かりの諸事安堵して籐寝椅子

草茂る小さき駅舎の大夕日

丹波路の雨雲匂ふ青田風

籐椅子や細き腕の父なりき


令和2年3月の秀句

料峭の園の日時計影持たず

草の芽にタイヤの跡や田んぼ道

古びたる祖父の箱書き雛の軸

声出せばすとんと椿落ちそうな

鮊子のくぎ煮を持たす最終バス


令和2年2月の秀句

梅見ごろふふみてまろき御神水

一人てくてくかたかごの咲く里に

探しものそこにありさう春日和

満開の梅を残して父逝けり

通院の七日七日に木々芽吹く


令和6年4月10日

桜鯛跳ねて糶声つり上がる

群青の海へ翻筋斗(もんどり)桜鯛

魚の棚二往復して桜鯛

ゆつたりと漕ぐ櫓の音や湖のどか

臍の緒の取れて佳き日の桜鯛

春灯や宇治十帖に迷ひ込み

春ともしふと力ぬく家路かな


令和6年1月10日

昇るほど海拡げ行く初明り

オクターブ声高くして初電話

亀の井を汲んで七種炊き上げし

七種の菜屑青くこぼれあり

草千里駆くる馬の背初明り


令和5年10月11日

月光や透明の魚生まれをり

ひぐらしや水滾滾と杉の森

小鳥来るお国訛りがありさうな

小児科の午後の窓辺に小鳥来る

舷灯が霧を濡らしている波止場


令和5年6月14日

あめんぼの生れては消ゆる水輪かな

貨車続く梅雨の開かずの踏切を

あめんぼう水田に映る近江富士

父の日の机の中のハーモニカ

黴にほふ薄きページのコンサイス


令和5年2月8日

とりどりの洗濯バサミ若布干す

川べりの焚き火の跡に草萌ゆる

放牧の杭打つ音や草萌ゆる

人も野も梅一輪に動き出す

若布売る海女の声して島の昼


令和4年11月9日

柳散るねぢれし風の色みせて

運河べりセピア色して帰り花

表紙なき歳時記めくる小春かな

玉垣に円座干したる神の留守

驛の文字残る駅舎や返り花


令和4年7月13日

山姫の織りたる布の白き滝

帰省子の去りて板の間広くなる

俎板の芯まで乾く極暑かな

帰省して忽ち染まる伊予訛り

白南風や干されし蛸の揺れる影


令和4年4月13日

有明の波やはらかに旅朝寝

朝寝して一風呂浴びる祖谷の風

行く春やさらさら落ちる砂時計

花びらが花びら追うて飛花の湖

山峡は夕暮れ間近飛花落花


令和4年1月12日

風花や神話の国の隙間から

鳶舞ふ成人の日の浜のまち

本堂の暗きに匂ふ水仙花

海暮れて眠りに落ちる野水仙

年の暮れ威勢を買ひに魚の棚 


令和3年10月13日

単線のひと駅毎の赤とんぼ

蚯蚓鳴く独り灯火の古机

本にある匂ひいろいろ秋灯

熟れ柿の冷たく甘くほの昏く

座禅組む畳目に有る秋の声


令和3年5月12日

子午線の真上の空のしゃぼん玉

厚切りの藁火染みたる初鰹

七色のカーネーションにある秘密

降るほどにみどり黄みどり若葉雨

五月晴二竿ほどのベビー服


令和3年2月10日

世辞一つなき偏屈のちゃんちゃんこ

春障子少し開きて聞く鳥語

如月の少女たちまち駆け抜ける

倚りかかる窓辺の椅子の春日かな

胃カメラの喉元過ぎる寒の明け


令和2年11月の秀句

行きて寺曲りて社木の実落つ

眼を細め湯気にまみれしおでん酒

鍋蓋をぷかぷか鳴らし切干煮

切干や戦時戦後と生き抜いて

小さき幸ことことことおでん煮て


令和2年7月の秀句

がぶ飲みの麦茶喜こぶ喉仏

牛を見に畦道づたひ草茂る

今切りしトマトの匂ふ朝の卓

草茂る兄とはぐれし日の記憶

夏帽子飛びたがるのを宥めけり


令和2年4月の秀句

囀りに目覚めて遠き母の声

かの人のボタン貰へず卒業す

春愁や終日凪の波止に立ち

菜の花や今泣いた子の笑ひ顔

花の雲スワンボートの向ふ先


令和元年12月の秀句

手の平を返せしやうに冬ざるる

冬ざれや崩れしままの空家塀

冬ざれの休耕田の土固く

短日や進み勝ちなる古時計

終列車冬将軍の只中へ


令和元年11月の秀句

深秋の貨車長ながと細りゆく

冬うらら大阪弁と伊予訛

掛軸にクレヨンの跡神の留守

浅漬けをはりはり噛んで長寿なり

物思うだけのベンチや冬の園


令和6年5月8日

高原の何もしない日ハンモック

麦秋や一筆書きに風の道

新茶汲む磁器の急須の一呼吸

唯一つ残されし畑麦の秋

退屈な子どもたちゐて子どもの日


令和6年2月14日

鍬の柄に憩ふひととき初音聞く

釣竿に紛れ護岸の若布刈竿

寒明けの光を満たし鳰の海

寒明の雨手のひらにピアニシモ

鶯餅つまみ口笛二度三度


令和5年11月8日

時雨るるや辻に干物を売る媼

抱き上げて小さき鈴の音七五三

振袖に毬の跳ねてる七五三

窯出しの茶碗の歪み夕しぐれ

昼の灯のともる駅舎に時雨くる


令和5年7月12日

改札が海の入口麦藁帽

作戦の真中に麦茶大薬缶

風鈴寺百の和音を潜り抜け

香水のただ一滴といふ鎧

ひと雨に緑きは立つ茅の輪かな

むぎちゃ麦茶ただいまが飛び込んでくる


令和5年4月12日

入学の朝のまあるき目玉焼

手習ひは百人一首春の宵

搗くほどに広ごる緑蓬餅

窓ごしの雨の匂ひや春の宵

野の色を臼に残して蓬餅


令和4年12月14日

昼月の高きに爆ぜし枇杷の花

雲低うして大綿は湖の色

稜線に風の抜けあと枯れ薄

頓堀の動く看板年忘れ

大根干す余呉の湖畔の明るさに


令和4年9月14日

かなかなや水に還りし父の骨

桟橋のロープ解かれて櫂の露

潮騒のざわめき途切れ虫の声

三輪車納屋に置き去り朝の露

露けしや夫婦茶碗の一つ欠け


令和4年5月11日

機音の絶えぬ西陣夕薄暑

虹立ちて七色なせる鳩の胸

沖の帆に日矢の射し入る夕薄暑

謎解きの行きつ戻りつ捩り花

昭和の日カップラーメンだけの昼


令和4年2月9日

薄氷のひかり沈みて湖昏るゝ

青空は少しでこぼこ薄氷

散髪の耳のうしろの余寒かな

春一番からから廻る換気扇

対面に見てないテレビ春炬燵


令和3年11月10日

小春日の散歩途中の缶珈琲

ゆっくりと自転車押して落葉道

似顔絵は1時間待ち日向ぼこ

ユトリロの白の昏さやそぞろ寒

小春日や投句の葉書買ひに出る

 


令和3年6月8日

小流れの音を隠して草茂る

五月雨の上がつた頃にゆで玉子

暗算に少し疲れて飴湯かな

五月雨の昼を灯して無人駅

干涸びて下手なのの字の蚯蚓かな


令和3年3月10日

梅日和絵馬に祈願の筆おろす

誰も居ぬベンチに春が来てをりぬ

店番は菓子屋の三女桜餅

祝杯の声にふくらむ牡丹の芽

また一人降り春風の入るバス


令和2年12月の秀句

朝刊を配る少年咳残し

年の市招き上手に売り上手

大根の煮える間の雑事かな

日めくりの細りてひとり炭をつぐ

看板を降ろせし老舗枯葉舞ふ


令和2年9月の秀句

おいそれと効かぬ残暑の痛み止

秋の蚊のしつこさ払ひ庭仕事

雨後の路地秋の匂ひの風通る

秋の蚊の八十路の額にすがりつく

一夜明け封書のやうな秋届く


令和2年5月の秀句

茄子トマト二本づづなる余生かな

手際良く九十歳の穴子ずし

歩く人みなひとりなり夏の月

夕月の欠けて蒲公英絮飛ばす

病む妻に茶柱の立つ新茶かな


令和元年10月の秀句

秋の空こつの掴めぬ竹とんぼ

靴ひとつ脱げしままの子秋夕焼

故郷に居て無口なる野菊晴

温め酒父の一節よみがへる

子午線に正午の時報天高し


令和元年9月の秀句

 秋暑し要点のみの電話かな

鵙高音思ひ出したる借り一つ

秋草を覗けば小さき花つけて

工事音家裏に残暑つのらする

その先にかぐや姫待つ月の道


令和2年2月の秀句

足すものもひくものもなし寒卵

毎年の文字の乱れや賀状書く

百歳の命あたたむ小豆粥

書初や朝日に光る一の文字

寒卵あっけらかんと友逝けり




令和元年7月の秀句

またひとつ老いて夾竹桃に佇つ

化粧して妻は遠出のサングラス

せんせいとここでさよなら夾竹桃

野球帽並べ掛けある夾竹桃

羅や母から受けし女紋

令和元年6月の秀句

灯を消して母と待つ夜の初蛍

網戸より程好き風の至福かな

新しき網戸に令和の風優し

縁側の母の定席夏の蝶

風鈴の音をかすかに茶の稽古


令和元年5月の秀句

大きな葉はみ出す母の柏餅

十連休明けてやれやれこいのぼり

薔薇真紅舞台間近の猛稽古

箸置きを新しくして初鰹

焼き立てのパン屋開店初夏の風

令和元年4月の秀句

遠足の声の転がる野の小径

子供にはゆっくり廻り風車

お持たせの品の競演花筵

嬰児の目で追い掛けるしゃぼん玉

しゃぼん玉故郷離れし日の記憶


平成31年3月の秀句

里の春婚荷車とすれ違う

木々芽吹く馬に乗る子の背筋伸ぶ

花種を蒔いてその色忘れけり

にんにくや老いの一徹ゆるぎなし

春めくや草野球にも女子の捕手

平成31年2月の秀句

墨はねて力作揃ふ書初展

木々芽吹く飛石とんで少女めく

春時雨時間通りに来ない人

立春と言ふも五感の整はず

二人居の一把で足りる菠薐草



平成31年1月の秀句

焼鯛の匂ふを下げて年用意

初旅やまだまだ時間のある余生

落柿舎の小さき日だまり初雀

片言の声ききたくて初電話

ナプキンの薔薇をくづして新年会

平成30年12月の秀句

いさぎよく退いて隠居のちゃんちゃんこ

初雪の一と日で消ゆる伯耆富士

冬ぬくし昭和の時計ぼんと鳴り

湯豆腐や言の葉柔き人と居て

立て直す看取りの心毛糸編む

平成30年10月の秀句

呼鈴に飛び出す下駄の夜寒かな

点滅の漁船遠のく十三夜

一駅で母の住む町赤とんぼ

夢と言う文字たたみ込む秋扇

敗荷の影からからと吹かれをり

平成30年9月の秀句

秋暑し市民講座の人まばら

手びねりの皿はみ出して秋刀魚かな

夜なべなほ出荷野菜の袋詰

細心に大胆に食む衣被

台風に一夜留め置く回覧板

平成30年6月の秀句

夏の空鳥の高さにパラグライダー

双方に西瓜差し入れ草野球

文具屋の四隅に吊す蠅取り紙

長梅雨の又読み返す古雑誌

一匹がやがて合唱田の蛙

平成30年5月の秀句

愚痴聞いて叱咤激励生ビール

俎板を小窓に干して風五月

筍の大きな秘密味はいぬ

筍を茹でて本日終りけり

幾筋も真っ直ぐな畝夏都燕